埼玉大学工学部 サイエンススクール 〜1日体験化学教室〜
Ⅰ.主催:埼玉大学工学部 応用化学科
Ⅱ.共催:日本化学会関東支部
Ⅲ.日時:令和4年7月30日(土)
Ⅳ.場所:埼玉大学工学部 応用化学科棟2号館2階会議室・23番講義室および実験室
Ⅴ.対象:高校生
Ⅵ.募集人数:40名程度 (各テーマ8名程度)
Ⅶ.参加費:無料
Ⅷ.実験テーマ(概要は下記の項目XIIを参照してください)
1. 室温・高圧での氷の単結晶作製とレーザーラマンスペクトル測定
2. 反応活性種の力で水をきれいにしてみよう!~光触媒反応って速いの?遅いの?~
3. 働く天然高分子・酵素パワーを可視化してみよう!
4. コップの形をした分子の不思議で、分子のネックレスを作ってみよう!
5. 働く石ころを識る・診る・作る ~光るセラミックスをつくってみよう~
Ⅸ.スケジュール
9:15 |
受付開始(会議室) |
9:45 |
学科長挨拶、全体説明と担当者紹介 |
10:00 |
テーマごとに講義・実験開始 |
12:00 |
昼休み(弁当持参推奨) |
13:00 |
実験の続き |
15:00 |
実験終了、アンケート記入 |
15:10 |
学科紹介(自由参加) |
15:40 |
学科内ツアー(自由参加) |
Ⅹ.参加申し込み方法
①サイエンススクール応募フォームに必要事項を記入して申し込んでください。
②申込期限は令和4年7月22日(金)です。申し込みを締め切りました。
③いずれかのテーマの応募者が定員を超えた場合には、他のテーマへの参加をお願いすることがあります。
④参加者の決定はメールにて令和4年7月22日頃までに通知します。
⑤問い合わせ先:埼玉大学工学部サイエンススクール係(担当:倉兼)
電話: 048(858)3342(直通) 電子メール: rikouken-jimuchou@gr.saitama-u.ac.jp
ⅩI.注意事項など
ⅩII.講義概要
1.室温・高圧での氷の単結晶作製とレーザーラマンスペクトル測定
氷は普通は冷凍庫で水を冷やして作りますが、室温のままでも高い圧力(大気圧の1万倍くらい)をかけるだけで作れる氷があります。それは氷VI(こおりろく)というもので、普通の氷(氷I(こおりいち)と言います)とは水分子の並び方(結晶構造と言います)が異なっています。このテーマでは、その氷VIをみなさん自身の手を動かして顕微鏡下で実際に作製して、さらにそれにレーザーを照射してスペクトルというデータを得て結晶構造を調べる、という体験をしていただきます。
水に高圧をかけて氷VIを作るダイヤモンドアンビルセル(上図)と
水から氷VIに変化する際の顕微鏡画像(下図).
2.反応活性種の力で水をきれいにしてみよう!~光触媒反応って速いの?遅いの?~
残留性の有機汚染物質の化学的処理手法の1つに、促進酸化法があります。これはOHラジカルなどの反応活性種を人為的に発生させ、これら有機汚染物質を酸化分解する手法です。高い反応効率が維持できれば、有機汚染物質は完全に分解、無害化できます。最近では光触媒を使用した製品をよく見かけますが、見た目には反応の様子をとらえることはできません。今回の実験ではまず、色素を有機汚染物質に見立て、光触媒反応、フェントン反応による色素の分解を行います。色の変化を視覚的に確認するだけでなく、吸光分析により色素の濃度を定量的に測定し、反応速度を比較する手法を学びます。そして、これらの結果から、化学反応の速度に差が出る理由を考えます。
反応活性種による水質浄化の実験
3.働く天然高分子・酵素パワーを可視化してみよう!
生体高分子(核酸、タンパク質、脂質、炭水化物など)は天然高分子とも言われますが、私たち生物の体内で様々な機能を発揮しています。例えば、「酵素」はタンパク質からなる生体高分子で、食物の代謝において、分解・合成などの化学反応を速やかに無駄なく進めてくれます。これらの生体高分子は、ちゃんと取り出され、適した環境に置かれると、生体外でもその働きを保つことができます。酵素入り洗剤などがその良い例です。今日は、身近な材料(野菜)に含まれる生体高分子を素材別(タンパク質、脂質、炭水化物など)におよそ分離し、タンパク質画分にあるペルオキシダーゼという酵素の働きを可視化してみましょう。
4.コップの形をした分子の不思議で、分子のネックレスを作ってみよう!
シクロデキストリンと呼ばれる化合物は、環状に糖(D-グルコース)がつながっていて、底のないコップのような構造をしています。そのため、色々な分子をコップの中に取り込むことができます。現在、シクロデキストリンとして利用されている化合物には主に三種類あり、それぞれ取り込みやすい分子が異なることから、身の回りの意外な製品に利用されています。そこで、本テーマでは、三種類のシクロデキストリンの違いを、まずフェノールフタレインという指示薬を使って理解します。更に、フェノールフタレインのような小さな分子だけでなく、シクロデキストリンは高分子の一部分を取り込むこともできることから、この特性を高分子の被覆に利用して分子ネックレスを作ってみます。
5.働く石ころを識る・診る・作る ~光るセラミックスをつくってみよう~
種々の金属元素と、酸素などの典型元素を組み合わせてできるセラミックスの性質は、化学組成や結晶構造の影響を受けて大きく変わります。物質本来の性質を最大限引き出すには、粉状・膜状・結晶体といった形態も重要です。うまく合成することができれば、セラミックスはわれわれの生活を支える材料(=働く石ころ)になります!本テーマでは、わたしたちの身の回りで活躍するセラミックス材料の一例として、光に関係するセラミックスを作ります。紫外線を当てると青く光る「蛍光体」の合成と、力を電気に変える「圧電体」を用いた振動発電機の工作に取り組み、セラミックスの働きを体験します。