ニュース


大西先生ご来訪

神戸大学の大西洋先生とD1の柳澤くんが一昨日から滞在されて,うちのB4の安野くんと稲見さんのガイドのもと氷Ih単結晶表面の試料を調製しました.基底面とプリズム面の試料を無事に持って帰っていただくことが出来ました.調製に先立ってAFMについてのセミナーも聴かせていただき,非常に有意義な機会となりました.

Comment

あるグループの界面の誘電率の扱いが変なのではないか,というコメントを3月に投稿して,2週間前にアクセプトされました.出版は,相手方のリプライがアクセプトされてからなので,まだ当分先のようです.

自分がコメントしなければならない,と突然3月に思い立って,2時間くらいで書いてさっさと投稿しました.そう思ったのは,2年前のローマのシンポでのそのグループの発表で,分極モデルのMDで得たスペクトルを界面の誘電率で割っているという説明があった時に,Ron Shen が "Why?" と言っていて,私も「そう思うよなあ」と感じていたからでした.その時はそのまま話が流れてしまって,議論が深まりませんでした.

今回の私のコメントに対する査読意見の1つには,

Shoichi Yamaguchi criticizes this theoretical treatment, arguing correctly that the MD simulations already provide a value for the dielectric constant that is consistent with the local fields existing at the interface. Thus, the chi2 SFG spectrum calculated from MD simulations (with a given force field) is consistent with the intermolecular structural arrangement of the water molecules at the interface and is consistent with local fields at the interface. I fully support Shoichi Yamaguchi's comment for publication in J. Chem. Phys.

とあって,たぶんWhy?が保存されているようで安心しました.

Textbook

8月14日から本を書き始めて,草稿を書き終わりつつあります.そもそも,4月に出版社の人がやって来て,「何でもいいから本を書いてみませんか」と言われ,即答できずにしばらく放っていました.7月になって,なんか書ける気がして来て,「書いてみます」と返事をしたところ,「ではプロポーザルを書いてください」と言われましたが,これが重い仕事でした.目次を作って,各章のアブストラクトを書かなければならず,結構な時間がかかりました.そのプロポーザルを提出したら,査読があって,いくつか修正をいただいて,正式契約という流れでした.執筆期間の希望を2年としたのですが,「それだと最初の1年は何もしないでしょう」と言われ,1年半で手を打ちました.しかし結局その1/3であがりそうです.プロポーザルが重かったのが,結果的には良かったと思われます.

Telluride 2024


今年のTellurideは,いつものAlex&Franzの界面非線形は辞退して,こちらの計算が主のワークショップに参加することにしました.会ったことがあるのはAaronとDamienの2人だけで,あとは初めての人ばかりです.計算を始めて3年が経ちましたが,方法論や今後の方向性について専門家に聞きたいことがたくさんあり,とても楽しみです.

計算方法


引き続き計算をしながら,計算方法をまとめたスライドを作りました.改めて眺めて,このままではいけない気がしています.

WFP続き

引き続き計算をしていて,行列の次元は16704まで増えてきました.これは緩和を再現しようとしているためで,そのために束縛回転と並進の波数のトラジェクトリーも下図のように計算しました.伸縮の定常スペクトル(特にラマンVV)と励起状態の寿命(~0.3 ps)を再現するのに,結局,分子内と分子間の全ての振動をハミルトニアンに入れないといけない,ということが分かりつつあります.


WFP

去年の2月にこの欄に書いたWFPという方法で,変角結合音まで含めて水のスペクトルを計算しています.今までは伸縮基本音と変角倍音まででした.その場合,分子数を n とすると,ハミルトニアンの行列の次元は 3n でした.変角結合音まで含めると 3n+n(n-1)/2 になります.これまでずっと n=512 だったのですが,その場合,変角結合音まで含めた行列の次元は132352となり,今まで通りのやり方で Igor でやるのは無理そうなので,n=128に減らして行列の次元を 8512 として計算しています.やり始めてみると,1度減衰しきった時間相関関数が 1 ps くらいで急増して発散する現象が起きました.結局,floatだったのをdoubleにして解決しました.今までfloatで問題が起きていなかったのは単に運が良かっただけなのかもしれません.

疎行列の対角化の方法で,もっとnを増やした場合に対応しようかと思っていたのですが,固有値と固有ベクトルが近似解になってしまって果たして大丈夫なのか,よく分かりません.

分光若手シンポ

12/22(金)に東工大(大岡山)で分光若手シンポが開催されました.うちの研究室からの発表はありませんでしたが,今年の3月に学部卒業して4月から東工大の石内俊一先生の研究室で大学院生活を始めた佐久間竜くんが立派な発表をしていました.クラウンエーテルのCH伸縮の複雑な実測スペクトルを,フェルミ共鳴を考慮に入れた理論計算で見事に再現していました.M1であそこまでやれる人は多くないと思います.なぜクラウンエーテルを研究するのかという点も明確に説明できていました.彼の今後の益々の活躍に期待します.

9th SFG Symposium

東工大の大内幸雄先生のオーガナイズで第9回SFG研究会が開催されました.第1回を大内先生が組織されたのがちょうど20年前ということで,懇親会ではSFG研究会の来し方を振り返る機会がありました.そこで言いそびれてしまったのですが,Alex Benderskii と Franz Geiger が Telluride で界面非線形光学のワークショップを始めたのは2008年で,それより5年も先んじて日本でSFG研究会を立ち上げられた大内先生の功績は高く評価されるべきと思います.改めて厚く御礼申し上げます.写真は高山哲侑くん(M2)が最優秀ポスター賞を授与された際のスナップです.完成までまだかなりかかる予定の研究の途中報告に賞をいただいてしまい恐縮の至りです.


DC1

先週9/27(水)に,M2の高山くんが来年度からの学振DC1に内定したとの報告をもらいました.関係の先生方や事務の方々に感謝申し上げます.そもそもこの研究室で博士後期課程に進学するのは彼が最初で,勝手がよく分からない中での応募でした.指導教員は評価書の作成を求められ,そこには例として飛び級や留学などを記載するとあったのですが,無いものは書けないので,ただただありのままを書きました.結果的にはそれが良かったのかもしれません.

研究計画調書の類を大学院生が用意するのは実際かなり大変だと思います.私は文章に手を入れませんでしたが,調書に目を通す中で,こういう書類作成に大学院生がかなりの時間を割くことが果たして本当に良いことなのかはやや疑問に感じました.


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