工学部 応用化学科

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教育

高等学校への出張講義

 応用化学科では、高校への出張講義を実施しています。
 本学科で行われているさまざまな化学分野の研究と関連する話題、それらと高校での学習との関係、応用などについて教員が高校に出向き、講義を行います。

 埼玉大学のホームページの「受験生の方>受験生向けイベントを知りたい>大学見学会・進学説明会・出張講義」にあります申込用紙にご記入の上、メール添付にてお申し込みください。

  「液晶を知ろう -性質と構造の関係、そして用途―」 廣瀬 卓司

  “液晶”という言葉は、今やもう皆さんにお馴染みだと思いますが、どのような物か知ってますか。その性質、第4の状態とも呼ばれる”液晶状態”とはどのような状態で、どんな性質を持っているか。どうしてそうなるのか。構造の観点から説明します。そして、その合成方法と今後の用途についても紹介します。

  「分子は右利き?左利き?」 小玉 康一

  ナノサイズの有機分子の多くは私達と同じく「利き手」を持っています。右利きと左利きの分子はよく似ていますが、生体に対しては全く異なる作用を示すことがあります。この講義では医薬品や香料など、私達の生活に深く関係している「分子の利き手」について解説します。

  「暮らしに役立つケイ素」 三浦 勝清

  ケイ素は地球表層中で酸素に次いで2番目に多い元素です。砂、粘土、岩石に多く含まれるケイ素は、古くから人の生活に役立ってきましたが、現代では、化学がその活躍の場をますます広げています。私たちの暮らしの中で、ケイ素がどのように役立っているのか解説します。

  「アルミニウムの有機合成への利用」 木下 英典

  これまでアルミニウム試薬は還元剤として有機合成反応に用いられてきました。しかし、最近我々はある種のアルミニウム試薬が炭素ー炭素結合形成を効率よく促進することを見出しました。また、本反応では炭素ーケイ素、炭素−ゲルマニウム、炭素ー硫黄結合も形成でき、環化合物を効率よく合成できることがわかりました。これらの詳細について解説します。

  「放射線の検出と機能性色素」 太刀川 達也

  東日本大震災以来、漠然とした不安となっている放射線について、その種類や単位(グレイやベクレル)、利用されている分野、人体への影響、環境中での放射線などについて紹介するとともに、放射線を当てると赤色や青色に発色する”機能性色素”という新しい有機化合物を使って、目に見えない放射線を目視で検出する研究について紹介します。

  「化学工学のすゝめ」 本間 俊司

  「機械工学」「情報工学」「電子工学」などと比較してあまり耳にしない「化学工学」という学問分野があります。これまで、世界中であらゆる課題に取り組み成果をあげてきた「化学工学」について、化学と工業の歴史を踏まえながら、その学問の魅力を解説します。高校で学ぶ、すべての科目が将来に役立つことをお話ししたいと思います。

  「液晶のいろいろ」 安武 幹雄

  テレビや携帯電話に用いられている液晶は今や欠かせないものとなっています。これら液晶ディスプレイの仕組みとそれらに用いられている化合物の役割について紹介するとともに、液晶化合物を使った最近の研究について紹介します。

  「私たちの生活を支える縁の下の力持ち 〜資源、エネルギー、そして触媒〜」 荻原 仁志

  私たちの豊かな生活はさまざまな工業製品(自動車、プラスティック、医薬品など)に支えられています。また最近では「脱炭素社会」を目指して、資源やエネルギー利用のパラダイムシフトが求められています。ここでは「触媒」の活躍が不可欠であり、その役割について解説をします。

  「大学で学ぶ分析化学 ~分離化学で分子を作る~」 齋藤 伸吾

  高校で学ぶ化学と大学で学ぶ化学はどこが違うのでしょうか?電気泳動やクロマトグラフィーなどは高校の教科書では少ししか出てこないですが,実社会でも使われている重要な分離方法です。これらを紹介するとともに,分離化学から機能性分子を創り出すという研究室での挑戦を紹介します。

  「冷やさないで氷を作ろう!」 山口 祥一

  氷を作るには,普通は冷凍冷蔵庫で水を冷やして凍らせますね.しかし,冷やさずに室温のままで氷を作る方法があるのです.しかも単結晶という,究極的にキレイな氷を,誰でも少し練習すれば作れるようになります.皆さんにその実体験をしてもらう出張講義を計画しています.

  「体の中を躍動する分子たち」 乙須 拓洋

  我々の体内に存在する蛋白質などは静的な構造を取っておらず,細胞内で絶えず構造を変化させながら動いている.この動きが機能と密接に関係しているため,動きを理解するための研究が精力的になされています.このような研究からわかってきた生体分子の興味深い動的性質とそれらを理解するための測定手法について紹介します.

  「界面化学で高分子を作ろう!  ―人工イクラから色の変わる高分子超薄膜まで―」 藤森 厚裕

  "界面"という反応場で,実際にナイロン,マイクロカプセル,有機分子超薄膜を作ってみましょう.身の回りにあふれる,プラスチック,ビニール,繊維,洗剤,化粧品,食品に広く用いられている科学技術が体験できます.更に,高分子ナノ薄膜を題材に,光重合と色相転移から推測される『有効共役長のナゾ』を解き明かしてみましょう.

  「感染症に挑む! ~工学からのアプローチ~」 松岡 浩司

  新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を席巻しています。ウイルスによる疾患ですが、世の中には、インフルエンザウイルスをはじめとする他の感染症の原因となるウイルスや細菌がたくさん存在しています。本講義では、ウイルスと細菌の違いをはじめ、講師が研究対象としているインフルエンザウイルスや病原性大腸菌O157などについて、工学的な視点でわかりやすく紹介したいと思います。

  「今、シリコンがおもしろい!」 幡野 健

  先端技術を代表するCDや半導体、手触りの良いシリコン(シリコーン)の主成分は、実は道端に転がっている石の主成分と同じシリコン (ケイ素)なのです。シリコンを使った材料の紹介や今後の展望についてお話しします。また、簡単な実験も行います。

  「進化を利用した分子デザイン」 根本 直人

  コロナウイルスはどんどん変異して人々を困らせている。しかし、この変異は生物の進化とも深く関係している。この進化の原理を積極的に利用してタンパク質の分子デザインに利用するのが進化分子工学である。それではどのようにウイルスを使って分子をデザインするのであろうか?その仕組みを紹介する。

  「光とナノテクで探る生体信号」 鈴木 美穂

  生物は細胞でできています。細胞では多くの化学反応や物理現象が複雑に関連しながら同時に起こっています。この制御の仕組みを光とナノテクで壊さず探るお話をします。これは病気の解明や薬開発につながる可能性があります。

  「色と光の世界」 石丸 雄大

  植物で光合成を行う葉緑素の基本となる分子と動物で酸素を運搬するヘモグロビンの基本骨格は 不思議なことに基本的に同じですが、違った色をしています。本講義では、色が見えるとはどういうことかについて、概説するとともに、光の性質や分子の構造などを易しく説明します。

  「地球炭素資源の家計簿をつけながら行動しませんか?」 王 青躍

  地球枯渇性炭素資源利⽤にあたって、地球環境への負荷をいかに低減し、廃棄物の抑制、廃棄物の処理と再資源化に関する化学的利⽤技術に加え、枯渇性炭素資源からの再⽣可能なエネルギー、更新性のバイオマス精製基盤への転換技術などについて解説します。

  「大気環境化学~PM2.5汚染から空気浄化技術まで~」 関口 和彦

  光化学スモッグやPM2.5などの大気汚染の現状や発生メカニズムを化学の視点から分かりやすく説明します。一方で、これら大気汚染を起こす大気中の化学反応は、空気をきれいにする空気浄化技術にも応用されています。このような大気汚染と工学技術の不思議な関わりについてお話しします。また、マスクによる粒子やウイルスなどの捕集原理についても解説したいと思います。