無機材料化学研究室(Takeda & Yanase Lab)

埼玉大学 無機材料化学研究室(武田・柳瀬研究室)
〒338-8570 埼玉県さいたま市桜区下大久保255
工学部応用化学科棟1・2号館3F
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研究内容Research

高温圧電センサ用材料の単結晶育成(武田)

 現在、耐熱性を有する超音波センサ、圧電振動子マイクロバランス、圧力センサが渇望されています。 これらは地熱・火力発電所の構造部材の常時監視、燃焼炉ダストのその場検出モニタ、エンジンの燃焼圧モニタリングによる精密燃焼制御に不可欠なもので、 安全で安定な電力供給や環境負荷の低減に重要なツールになります。これらすべてのセンサを実現するには高温環境で①高い化学安定性、②安定な圧電特性、 ③高い電気抵抗率をもち、さらに④容易に大型結晶が育成できる圧電結晶が必須となります。近年、世界各地で高温用の圧電結晶が開発されていますが、 この4つの条件すべてを満たす圧電結晶は存在しておりません。
 本研究では4つすべての条件を満たす圧電結晶として、メリライト型結晶であるゲーレナイトに注目しました。 このゲーレナイトに関して、(1)チョクラルスキー法でバルク単結晶化ができること(2)焦電性が無く、 融点1600℃まで圧電性を示すこと(3)現時点で最有力候補とされているランガサイト型結晶より高い電気抵抗率を示すことを解明しました。 さらに、燃焼環境を模擬的に再現した装置を作製し、700℃の高温下でも加えた圧力波形に応じてシグナル(電荷)が発生することなどの成果を得て、 ゲーレナイトが高温用圧電センサ材料として有望な材料であることを突き止めました。現在、この結晶を用いたセンサの開発、さらなる材料の探索を行っております。

高温圧電センサ用単結晶の育成

関連トピックス

  1. Haruki Usui, Makoto Tokuda, Kazumasa Sugiyama, Takuya Hoshina, Takaaki Tsurumi, Kheirreddine Lebbou, Ikuo Yanase, Hiroaki Takeda*,
    “Control of Thermophysical Properties of Langasite-Type La3Ta0.5Ga5.5O14 Crystals for Pressure Sensors”
    Crystals, 10, 936 (2020).
    DOI: 10.3390/cryst10100936
  2. Hiroaki Takeda*, Hiraku Kusakabe, Haruki Usui, Takuya Hoshina, Takaaki Tsurumi, Kheirreddine Lebbou,
    “Strontium-substituted calcium magnesium silicate single crystals for high-temperature piezoelectric applications”
    Journal of the Ceramic Society of Japan, 128, 130–134 (2020).
    DOI: 10.2109/jcersj2.19193
  3. Hiroaki Takeda*, Manabu Hagiwara, Hiroaki Noguchi, Takuya Hoshina, T. Takahashi, Nobuhiro Kodama, Takaaki Tsurumi,
    “Calcium aluminate silicate Ca2Al2SiO7 single crystal applicable to piezoelectric sensors at high temperature”
    Applied Physics Letters, 102, 242907 (2013).
    DOI: 10.1063/1.4811163